アメリカでサッカーは人気が無い?

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アメリカは昔からサッカー不毛の地と呼ばれてきました。その最大の原因は、1970年代頃に存在していたプロサッカーリーグが経営破綻で消滅したことにあります。当時、サッカーはすでに世界的な人気を不動のものにしていました。その人気を背景に、メジャーリーグベースボールやNBA、NHLに並ぶリーグを目指して設立されたのが北米サッカーリーグ(NASL)です。1968年に始まり、1984年に解散しています。このリーグにはサッカー先進国の有名スター選手たちが続々と参入したため、前途は明るいと見られていました。ペレやクライフ、ベッケンバウアーたちは全盛期は過ぎていたものの、華麗なプレーでアメリカの観客を喜ばせたのです。しかし、アメリカのスポーツビジネスは黒字を出せなければ撤退が鉄則です。NASLはヒスパニック系を中心に一定の人気を博したものの、リーグ全体の黒字化までは至らず、消滅してしまいました。この歴史があるために、アメリカではサッカーは人気が無いと言われてきました。しかし、その実情はかなり変化してきています。アメリカ人女性が一番プレーしているスポーツはサッカーですし、現在のプロリーグのメジャーリーグサッカー(MLS)には年俸10億円を超える選手が何人も在籍しています。いわゆる全米4大スポーツのすぐ下にまで、その人気は上昇して来たと言っていいでしょう。

では、なぜアメリカではサッカーは人気が無いと言われてしまうのでしょうか。それはスポーツについての考え方の違いが関係しています。サッカーの本場であるヨーロッパと南米でも、プロサッカークラブの経営は赤字が普通です。こうしたサッカー先進国では、ビジネスの成功者が自分の地元のクラブを金銭面で支えるのがステータスとなっており、赤字経営でもクラブが存続していく仕組みが出来上がっています。かたやアメリカは、徹底した合理主義でスポーツが運営されています。赤字経営を認めない考えが強いので、元々赤字体質のサッカーはクラブとリーグの存続が難しいのが実情です。そのため、人気はちゃんとあるのにリーグが消滅してしまう歴史を繰り返し、アメリカはサッカー不毛の地と呼ばれるようになりました。しかし、現在のプロリーグは過去の失敗から学び、健全経営と人気獲得を両立しています。サッカーがバスケやアメフト、野球、アイスホッケーに次ぐ、アメリカ第5の人気スポーツと呼ばれるようになる日はそう遠くないかも知れません。